「道具作り」

『道具は自ら作れ』

つて、私がロクロを師事した井上萬二氏から教わった言葉です。そして15年間、窯業大学の非常勤として、ロクロを教えてきた生徒たちにも伝えてきました。師からの細かな技術の伝承・精神論を現代の若者への教えに持ち込む事は好きではなく、あまりそうしないようにしています。ですが、無雑の集中力と道具に対するリスペクト、土に思いを伝える愛情のような作陶への姿勢の大切さは、今も昔も変わらないと思っています。

指導の立場を退いた後は久しくそんな機会も少なくなり、昨今の窯業を学ぶ若い世代も自ら道具を作ることなく、便利な道具や材料が労せず手に入るようになってきたように感じます。この状況に、私の中で何かが引っかかり、モヤモヤが続いていました。井上萬二門下時代から自分で作ったヘラなどの道具は、微調整を繰り返しながら、30年経った今もピッタリと自分の手に馴染んで、土に優しく語り掛けながら意のままに変化していってくれています。

ですがこの数ヶ月、工房に通っている若者に久しぶりにロクロを指導したり、かつて教えていた大学で同じ井上門下生の先輩に指導を仰ぎ、一緒に道具作りを行うことで改めて学びました。技術を習得する前の大切なことを…。

広く勉強したいと意欲満々の彼女も、そんな貴重な体験や自ら作った道具への愛着を感じながら、今後土と向き合っていく事でしょう。

辻 聡彦

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