聡窯日誌vol.15「全集中」

ずらりと並んでいる飯碗たち、その数293枚。先週の火曜日からちょうど1週間、皆で手分けして絵付けや釉掛けを行い、どうにか今日の本焼成の窯に間に合うことができました。本当に一安心です。そしてこの1週間で私は全集中、絵付けの呼吸、壱の型、高速濃みを習得したはず…。ですが本当に集中したので、手と頭がすごく疲れてしまいました(汗) 鍛錬がまだまだ足りません。

聡窯日誌vol.14「縮む」

デスクワークが多く、そのせいか腰痛に悩まされる10月となりました。なので今週は久しぶりに飯碗の絵付け作業をしていました(座って作業するのは変わりませんが…)ロクロも絵付けも、腰に負担が掛かってしまう作業なので、窯業界に腰痛は付き物。 これから寒くなってくるので、もっと身体が縮こまらないよう気をつけたいです。

縮むと言えば、焼き物は出来上がるまでに各段階で収縮していきます。その収縮率は、一般に市販されている粘土で12~13%程度。土によっては、備前の土や、磁器土の様に、20%程度も縮むものもあります。そのため出来上がり寸法より、大きく作る必要があります。大きさでも縮む量は違います。大きな物や長い物は大きく縮みますので、陶芸の初心者はこんなに小さくなるのかとビックリします。又、作る時は大き過ぎると思いがちです。

聡窯日誌vol.13「Sohyoh Art Shop オープン」

朝晩と冷え込む季節となってきました。10月は新しいオンラインショップを2つ開設するための準備をコツコツと行っていました。作品を選んだり、イメージ写真を撮影したり…そのひとつである、「Sohyoh Art Shop」が完成しましたので、お知らせします。

「Sohyoh Art Shop」は、聡窯・辻が作陶している陶額を中心に、聡窯の各作家が制作した作品、作家モノをセレクトしたアートショップです。

私たちは、お客様のもとで世界で一つのインテリアとして時間を共有してもらえることを思い描きながら、陶額を制作しています。お気に入りのアートと出会い、自分の生活空間に飾ってみる…そこには美術館やギャラリーで鑑賞するだけでは生まれない特別な関係が、アートとあなたの間に生まれます。このショップがそのきっかけとなっていくことを願っています。

もうひとつのオンラインショップは秋の陶器市に向けて準備中です、お楽しみに☆

 

聡窯日誌 vol.12「鑑賞の秋」

9月に入っていきなり、台風9・10号の影響で雨風が強かった有田町でしたが、工房では特に大きな被害はありませんでした。ただ、家の近くにある桜の木が、ポキッと幹から倒れてしまって…可愛い桜の花を咲かせていたので少し悲しいです。今後も台風・気温の変化に気をつけていきたいですね。

猛暑から残暑に、そして蝉から鈴虫たちに移り変わり、季節が秋に向かって歩み始めている今日この頃ですが、鑑賞の秋はいかがでしょう。

この度、富山大和5階アートサロンにて、9月16日(水)から22日(火・祝)まで、情景を刻む – 辻󠄀 聡彦 作陶展を開催いたします。

会期:9月16日(水)~22日(火・祝)※最終日は18時閉場

会場:富山大和 5階 アートサロン

作家来廊日:会期中全日 ※都合により変更となる場合があります

◎新型コロナウィルス感染拡大防止のため、お客様へご協力をお願いしております。詳しくは富山大和ホームページをご確認ください→【感染拡大防止への取り組み】

暗いニュースが続く世の中ではありますが、作品を通して少しでも皆様の元気に繋がっていくことを願います。

スタッフより

聡窯日誌 vol.11「彩り」

先週のこと。今後ネットを活用した販売ルートを開拓していくために、専門家さんにお願いしてWebや写真撮影、テーブルコーディネートについて学ばせていただきました。

大学時代に写真の授業はありましたがほとんど寝ていたため、カメラに関しては無知な私でしたが(汗) ズームを使うと歪みが和らぐ、料理は山になるように盛る、最近は逆光風の写真が流行っている等など。カメラもコーディネートも、基礎を学び、きちんと実践してみるととても楽しく…器だけでなく、久しぶりに自分の心も楽しさに彩っていくことを感じた時間でした。

聡窯日誌 vol.10「眠る風景たち」

少し久しぶりの聡窯日誌です。やっと長かった梅雨が明けた!と思ったときには、もう8月。今年は日本中でいつもと違う夏を過ごすことになりそうですが、現状を受け入れながら2020年の夏の風景を心身に焼き付けていこうと思います。

倉庫の棚の中には、先代の陶板が多く眠っています。写真とは少し異なり、日本・ヨーロッパの風景が美しく焼き残り、色あせて消えていくことはありません。なかなか外出・旅行が難しい現代ですが、棚の中で眠る風景たちを起こして、人の心に届けることができたなら…。

鹿児島『磁庭園より』辻 聡彦作

聡窯日誌 vol.9「茶サビ鉄仙」

聡窯ブランドの鉄仙シリーズに、新色の茶サビ、アイテムにそば猪口が加わりました!

色の濃淡が出やすい茶色の絵具(茶サビ)を使い、手描きで丁寧に描くことで、鉄仙の表情をより感じられる商品になりました。そば猪口は、お蕎麦や素麺が食卓に多く並ぶこれからの季節にはもちろん、茶器や酒器など幅広く使えるアイテムです。

鉄仙シリーズは、聡窯のオンラインショップでお買い求めできます。

長く続いた雨が上がり、モクモクとした大きな雲と蝉の声に夏の始まりを感じる中、5月に咲き終わったはずの工房の鉄仙が一輪、咲いていました。そして、聡窯ブランドにも新しい鉄仙が咲き始めようとしています。

スタッフH.O

聡窯日誌 vol.8「飯碗の原風景」

九州地方や中部地方など広範囲に甚大な被害が発生しています。被災された方にお見舞いを申し上げるとともに、最前線で救援救護活動を担っている皆様に敬意を表します。

3日から降り続いている大雨。昨日、気象庁が「令和2年7月豪雨」と発表されましたね。ニュースを見過ぎたせいか、家の周りが濃紺の洪水まみれになり、逃げ遅れてしまう…という夢を見てしまいました。有田に氾濫は出ていませんが、土砂災害警報がずっと出ているので不安です。

さて話は変わりますが、今週は新しい飯碗のデザインを考えるために、飯碗のについて色々調べていたのですが、特に歴史的な部分を調べていくと面白いことが分りました。

お椀は、古くは「鞠 まり」と呼ばれており、鞠のように丸い器であったことからその呼び名が付いたようですが、良い器というのは、反転させて2つを合わせたときにちょうど四寸(12cm)の球になる、とされていたそうです。有田を含め、様々な産地で作られた飯碗を調べてもやはり、昔ながらの基本的な形は12cm。これは、標準的な大きさの日本人の両手で人差し指と親指を使い、円をつくったときの直径と同じであり、持ったときに自然と手に馴染む大きさでもあるのです。

12cm=四寸のような昔からある長さの単位は、人間の身体から生まれた“身度尺”と言われています。近年、多くの手が入った色々な形状の飯碗が増えてきていますが、様々なデザインによって失われつつある飯碗の原風景=手から生まれる形に立ちもどることが必要なのでは?と感じました。

以前のブログで、ダーヴィンの進化論の言葉から「人も焼き物も、変化しなければならない時が訪れているかもしれない」とかっこよく語ってしまいましたが、変化するには必ずタイミングがあると思います。例えば、飯碗の形状が変化するタイミングは、日本人の手が大きくなったり、小さくなったり、指がなくなったり、もしかしたら脳が発達して手が無くなってしまったり…?など、身体の進化が起こった時かもしれません。でも、それはずっと先の未来のことでしょう。

作り手が使い手に合わせて自然と作られてきた飯碗に、実はとてもプロダクト要素が含まれていることに感動する私でした。

スタッフH.O

聡窯日誌 vol.7「ひっそりと紫陽花」

7月に入り、2020年の下半期がスタートしましたが、まだ梅雨が明けそうにないですね。今日は本焼成の窯を焚いています。焼き物は1300℃近い熱で焼き上げることで、しっかりと焼き締まって完成するのですが、雨が降ると気温や湿度の関係で窯の温度がうまく上がらなくなってしまいます。雨風がひどくならないことを祈るばかりです。

梅雨と言えばアジサイ。聡彦氏の作品で紫陽花が描かれている器があります。今年のWeb有田陶器市では鉄仙シリーズに並び、紫陽花も好評でした。紫陽花の花を一輪ずつ線刻で彫り、紫色の絵具で柔らかく描かれています。鉄仙シリーズや紫陽花の器は、聡窯のオンラインショップでお買い求めできます。コロナや雨の影響で、家にいる時間が増えてきているこの頃ですが、季節を感じられる器で食卓を明るく、そして豊かにしてみませんか?

スタッフH.O

追伸:ショールームの裏には、ひっそりと紫陽花が咲いています。

聡窯日誌 vol.6「釉薬プール」

昨日から今朝まで、九州北部では大雨が降り続いていましたが、お昼過ぎには雲の隙間から青空とお日様が見えてきました。しばらく雨の日は続きそうですか…6月も残りわずか。梅雨明けの暑さがやって来る!と想像しただけで汗が出てきて、プールに飛び込みたくなります。

なんてことを思っていた今朝、聡彦氏たちが板やブルーシートを使って、せっせと何かを組み立てていました。完成したのはどこからどう見て釉薬のプール。「まさか、先生この中に入るんじゃ…!?」なんてことはなく、もちろん焼き物のためのプールでした(笑)

粘土でつくった生地をそのまま焼いたものは「素焼き」と呼ばれ、表面が粗く、水を吸収しやすく用途が限定されてしまいます。素焼きした生地の表面に釉薬を付けて焼くと、表面をガラス質が覆い、小孔をふさぐために耐水性が増します。釉薬をつける工程は「釉掛け」と呼びます。

スタッフH.O