「鋳込み口の価値」

短い2月はあっという間に過ぎていき、スギ花粉と共に3月がやって来ました。花粉症の私にはとても辛い1ヶ月になりそうですが、やりたいことがたくさんあるので、どうにか乗り越えていきたいものです。

そして、2月にカトラリーレストのサンプルが焼き上がりました。”星空”はやはり、もう少し呉須を濃くしてグラデーションを効かせたいなぁと思いつつも、キレイに焼き上がってくれているので一安心。「月も彫ってみたい…」なんて突然の思いつきも起こりながらも、今は本番として制作を進めています。

成形方法や技法にもよりますが、焼き物を作っているとどうしても土の削り粉や使用しない余った土が出てしまします。焼成しても当然ながら失敗作が出てくることもあります。1個や2個なら一般ゴミで捨てられますが、そこそこ大量になると、いわゆる「産業廃棄物」となってしまいます。今回のレストは「固形鋳込」という成形方法で制作するのですが、土を型に流し込む口の部分である「鋳込み口」にも土が付着してしまうので、レストの生地と共に小さな生地が出来てしまうのです。

鋳込み口とはいえ厚みもあり生地として十分に使えます。ゴミとしてではなく、きちんと鋳込み口を「価値」のあるものとして見て、リメイクしていく意識を自然と持てるようになりたいと思います。

鋳込み口から箸置き・アクセサリーのパーツ…まだまだ山のように残っています。

大 堀

「希望の星屑」

最近とても「星」に興味を持ち始めています。カトラリーレストのサンプルにも夜空と星をイメージして染付を施してみました。聡窯オリジナルの呉須は柔らかく優しい青色に発色するので、もう少し濃くしても良かったかも…。焼成前と後で色が変化する焼物の難しいところです。サンプルの雰囲気を確認してから、「星」をテーマにしたデザインを練っていこう!と密かに計画を立てています。

元々自分や姉が「星」に関係する名前をつけてもらったこともあって、小さい頃は太陽と月を見つけて、「ヒナちゃん太陽」「○○ちゃんお月様」と指を指して呼んでいました。おしゃべりで文章能力があり、絵も上手な姉。口下手で、絵はちょっといまいちな私。正反対な姉妹です。

月がどうして夜空で輝いているのかご存知でしょうか?月は自分で光を出しているのではなく、太陽にてらされて光っています。つまり月は、太陽の光をはねかえして輝いているというわけです。「きっとあなたは姉に会うために生まれてきたんだねぇ」帰省するたびに母は言い、私も太陽の存在で誰かが輝いたり、笑顔になっていく…なんて素晴らしいことだろうと思ったりします。

ですが太陽よりも、その周りで一生懸命小さく光っている星屑たちに惹かれ、そう在りたいと願ってしまう自分がいます。その星屑たちは小さくとも、きっと希望に溢れているから。

大 堀

「仕事始め」

あけましておめでとうございます。昨年は先の見えない状況が続く中、自分たちに向き合い、出来ることを考え、大切なものを見つめ直す日々となりました。本年も私たちは、暮らしとアートに寄り添いながら、皆様の心がワクワクする作品をお届けできるよう努めてまいります。

本年もどうぞ聡窯・辻をよろしくお願いいたします。

雪の日が続く中、仕事始めは昨年完成したカトラリーレストの原型から、使用型をとる作業。冷たい土と水を使うたび指先が赤くなって動かなくなる感じは、まるで持久走の後と同じ…。

大 堀

「青春白書」

大掃除に入る前に、合間を縫って作っていたカトラリーレストの原型が完成しました。シンプルであるが故に、きれいに彫っていくのは難しいのですが、私はレリーフの表現やレリーフタイルが好きなので、楽しく制作できました。

大学時代、私はロクロと絵付けがそれほど得意ではありませんでした。けして怠けているわけではなくて、むしろ真面目すぎるぐらい授業を受けていて、夏休みや冬休み、空いてる時間はずっとロクロや絵付けの練習していたのですが、なかなか成果が現れず…。特に1年生の時は、クラスメイトたちがどんどん前に進んでいくことにも焦りを感じてました。

そんな1年生の冬、「基礎造形」という授業で石膏でレリーフタイルを作る機会がありました。光と影のバランスやタイルの向きなどで表情が変わっていく……仕組みはシンプルなのに、とてもきれいなレリーフタイルに感動したことを今でも覚えています。「ロクロと絵付けはイマイチな私だけど、これは焼物で作りたい。必ず卒業制作で挑戦して結果を出そう」そう心に決めた瞬間でした。

2020年が終わる前に、すごく頑張って、苦しんで、たくさん泣いて、レリーフタイルが好きで、卒業制作にすべてをかけていたあの頃の気持ちを思い出すことができました。来年も再来年もその先も、この気持ちは忘れたくないです。

今年で最後の聡窯通信となりました。皆様 良いお年をお迎えください☆

大 堀

「挑戦を乗り越えること」

今週は各自、作品・サンプルの制作に没頭していました。

拓眞氏は、花×器展で展示していた「環」の小さい花器バージョンを制作中。薄くのばし、小さくカットした生地を、テトリスのように積み重ねて接着しながら形状を作り上げています。

聡彦氏は新しい大物作品のサンプルをロクロで制作中。初めて作る形に手応えを感じたり、悩んだり…挑戦することを楽しんでいるように見えました。

そして私は、カトラリーレストの原型を石膏で制作中。ナイフや彫刻刀でレリーフを入れています。

前例のない「初めて」に挑戦することは、時間と勇気が必要です。ですが、「挑戦」を乗り越えた先に、磁器の新しい表現への扉が開かれる。そう信じているから、きっと作家たちは挑戦に立ち向かっていくのでしょう。

大 堀

窯業人材育成事業からお知らせです。

佐賀県窯業技術センターでは、陶磁器産地の次世代を担う新しい人材の育成を目的として、研修期間6ヶ月の一般研修を行っており、令和3年度4月期の研修生募集をしています。

専門技術の習得を目指す「製造技術」、「ろくろ」、「絵付」コースをはじめ、今期から陶磁器製造工程全般の技術を初歩から習得する「基礎」コースが新設され、焼き物未経験者でも挑戦できます。※未経験の方は「基礎」コースでご応募ください。

詳細は佐賀県窯業技術センター公式サイトをご覧ください。

令和3年度一般研修4月期 研修生募集について

「清く、可愛い、箸置きたち」

近年では料理の写真をSNSにアップすることが日常化してきており、特にコロナ渦の中ステイホーム期間が増えたことで、料理を楽しむこと、そして食器の購入者が少しずつ増え始めています。中でも箸置きは器より買い求めやすく、無理に高価なものを揃えなくても、置くだけでテーブルに華やかさ・季節感を演出してくれる重要なアイテムとなっているそうです。

可愛い、写真を撮ったときに華やかになる、きちんとしてる感が出るなど、使い始めや購入するときには、インスタ映えを意識し、またインスタの流行によっては普段の食事でも、お皿1枚選ぶにもバランスを考え、箸置きもこの料理にはこっちの方が映えるかな…と、現代人がコーディネートを考えて選ぶようになってきています。

1枚の写真とコロナが、料理をすることとテーブルコーディネートの楽しさ、そして丁寧な暮らしの大切さに気づかせてくれるきっかけになっていると感じました。また、私たちが清潔に食べ物をいただきながら感染対策を行うためにも、箸置きやカトラリーレストを食卓に取り入れることは大切かもしれません。

大 堀

「器を彩り、花を彩る」

コロナ渦の中始まった「秋の有田陶磁器まつり」今年は検温や消毒などの感染対策を徹底し、春のWEB陶器市に続き、インターネットでも販売するなど、新たなの取り組みが展開されてきましたが、無事に開催することができました。多くの観光客の方が有田を散策している姿を久しぶりに見て、嬉しく感じました。どうか、少しずつでも町と窯業界に活気が戻りますように。

期間中、旧田代家西洋館(有田異人館)にて開催していた「西洋館を彩る花×器展」を見に行きました。

聡彦氏の「躍動」は、絵付けの力強い流れと大きな枯木の組み合わせがとても合っており、迫力がありながら、後ろからのぞかせたかすみ草から小さな生命感も感じ、強弱のある作品に仕上がっていました。拓眞氏の「環」は、ニューサイランなどを背を高くして生けてあり、見ている側も背筋を伸ばしてしまいそうな作品でした。普段、焼き物に関心のない私の両親も「生命を感じる…!」と珍しく感動していました。

器を彩ることが、花を彩ることにつながる…器の中では、とても奥深い世界が広がっているようです。

大 堀

「躍動」辻 聡彦作/草月流
「環」辻 拓眞作/龍生派

「全集中」

ずらりと並んでいる飯碗たち、その数293枚。先週の火曜日からちょうど1週間、みんなで手分けして絵付けや釉掛けを行い、どうにか今日の窯に間に合うことができました。本当に一安心です。そしてこの1週間で私は『全集中、絵付けの呼吸、壱の型、高速濃み!!!!』を習得したはず…。ですが本当に集中したので、手と頭がすごく疲れてしまいました(汗) 鍛錬がまだまだ足りませんが、私は長女のような次女だから出来るはず…!

大 堀

「縮む」

デスクワークが多く、そのせいか腰痛に悩まされる10月となりました。なので今週は久しぶりに飯碗の絵付け作業をしていました(座って作業するのは変わりませんが…)ロクロも絵付けも、腰に負担が掛かってしまう作業なので、窯業界に腰痛は付き物。 これから寒くなってくるので、もっと身体が縮こまらないよう気をつけたいです。

縮むと言えば、焼き物は出来上がるまでに各段階で収縮していきます。その収縮率は、一般に市販されている粘土で12~13%程度。土によっては、備前の土や、磁器土の様に、20%程度も縮むものもあります。そのため出来上がり寸法より、大きく作る必要で、大きな物や長い物は大きく縮みますので、陶芸の初心者はこんなに小さくなるのかとビックリします。又、作る時は大き過ぎると思いがちです。

大 堀

「Sohyoh Art Shop オープン」

朝晩と冷え込む季節となってきました。10月は新しいオンラインショップを2つ開設するための準備をコツコツと行っていました。作品を選んだり、イメージ写真を撮影したり…そのひとつである、「Sohyoh Art Shop」が完成しましたので、お知らせします。

「Sohyoh Art Shop」は、聡窯・辻が作陶している陶額を中心に、聡窯の各作家が制作した作品、作家モノをセレクトしたアートショップです。

私たちは、お客様のもとで世界で一つのインテリアとして時間を共有してもらえることを思い描きながら、陶額を制作しています。お気に入りのアートと出会い、自分の生活空間に飾ってみる…そこには美術館やギャラリーで鑑賞するだけでは生まれない特別な関係が、アートとあなたの間に生まれます。このショップがそのきっかけとなっていくことを願っています。

もうひとつのオンラインショップは秋の陶器市に向けて準備中です、お楽しみに☆

大 堀